適当から始まった関係でも、万遍繰り返せば真実になる

 


花見の席で、浴びる様に酒を飲み、気が付いたら宿屋で、真っ裸。

隣りには真選組・鬼の副長、土方 十四郎が眠っていた。

そりゃあ焦った。

なんでこの男が隣りに、同じく真っ裸で寝てるのか・・・

考えるだけで恐ろしい。

いや、考える所か、現実だから尚、恐ろしい・・・

[うぉぉぉ~!
なんか、ケツのアナ痛ぇ!
てか、ものっそい!熱い!
やられたのか?やっぱ、やられたのか?うぉぉぉ!マジでか?]

隣りに眠る土方をジッと見詰め考えた。

[何故だ?何故こうなったんだ?
分らねぇ。つーか、分りたくねぇ!]

「うっ!」

[間違いねぇ!!!やられた!
なんか、ケツから出てきたよ。
こりゃ、アレだ!!間違いねぇ!!
こいつのセーシだ!
テンメェ~!中出しかよ!!]

睨みつつも、ゴソリと身動きする土方にビクッとし、ちょっ、引く。

「ああ?なんだよ、起きてたのかよ」

第一声は掠れ、眠たそうだった。

「オイ、銀時?何、固ってんだ?」

[ちょっ!おま・・・
そんな馴々しいヤツだったか?
しかも、笑ってんし・・・]

「銀時?」

「あ、つうか、何ですかこりゃ?」

言うに事欠いてどんなセリフを言ってんだァァァ!俺はァァァ!

「何って?覚えてねぇのか?何なら事細かに話してやっても良いがな」

「あ、イヤ、いいです。遠慮します」

「ああ、良かったぜ?
おめーも、よがり狂ってよぉ」

「やめて―!そんなの俺じゃないから!銀さんじゃないから!」

「んじゃ誰だよ。
テメェ、自分の事、
銀さんとか言ってんじゃねぇよ」

「そりゃ、アレだ、俺じゃねぇ誰かだ」

「ふ~ん、そう言う事にしてぇなら、良いがな。
俺だけ良い思いしたみてぇで、悪りぃなぁ」

土方は呟きながら煙草に手を伸ばし一本吸い付けた。

白煙がフワリ立上ぼる。

[こいつは無かった事に出来るのか・・・なんだ?
すげぇ、ムカつきやがる・・・]

フワリ漂う白煙を見詰めながら、思わず口走る。

「やったのは、覚えちゃいねぇ。
痕跡だけだ」

「だから?」

土方はジッと俺を見詰めた。

「良かったのか・・・わからねぇ」

「なんだよ、分りてぇのか?」

「おめーだけ、良かった。
とか言ってんのが、気に入らねぇ」

「ふ~ん、面白れぇ事言うじゃねぇか。んじゃ、気に入る迄、試すか?」

互いの挑戦的な物言いに、乗った。

どういう事になるか分ってながら、受け応える俺は何を考えているのか。

「思い出して貰おうじゃねぇか」

瞳孔開き気味の瞳で笑い土方は俺の手を引き、倒して組み敷いた。

[俺、馬鹿じゃねぇ?
何むかついてんの?
マジ、馬鹿じゃねぇ?
んで、ナニ?
こいつにやられてぇの?]

「言っとくがなァ・・・
酔っぱらったおめーを担いで宿屋に連れ込んだのは、俺だったがよ、初っからやるつもりだったんじゃねぇ。
おめーが俺に口付けてきたんだぜ」

「うっ、」

マジでか?何にも覚えてねぇ・・・

「おめーはいっつも、多串くんとか、訳分らねぇ名前で俺の事呼んでるくせぇしやがって、昨夜は、何つったと思う?
トシって呼んだんだよ」

土方はニヤリとして俺の耳元で囁いた。

「おめー、俺の名前、知ってんじゃねぇか・・・
こっちが熱くなる位、情熱的にトシ、トシって呼び続けながら、口付けてきたんだぜ・・・
分るか?
俺が猛った訳がよ」

「分りたくねぇ・・・
分りたくねぇが、分ってるよ。
俺がこうしたかった、ってんだろ?
俺が誘った、ってんだろ?」

自棄気味の俺に土方は笑って言う。

「まぁ、お互い、酔っぱらってたしな・・・
俺達ゃあ、艶っぽい間柄じゃあねぇが、そんな気分だったって事った。
存外、俺も嫌じゃねぇって、な」

土方は含みのある言い方をし、笑って俺に口付けて髪を撫でた。

[ホントだよ・・・
嫌じゃねぇ・・・
おめー、キス巧ぇし・・・]

土方の背中を抱いてその巧みなキスに応えた。

全身余す所無く、撫で回され、口付けられる事など、そう、経験した事ァねぇ。

俺が女にしてやったとしても、こいつ程、細かでも、丁寧でも無かった様に思う。

男に愛撫され、喘ぎ、官能を引き出されるなんざ、思ってもみなかった。

こいつは、女に不自由した事ァねぇだろうな。

言いたかねぇが、こいつは男前だし、女が放っておくはずがねぇ。

上方じゃあ良い妓、引く手数多だって聞いたしな・・・

しかも、テクニシャンときた。

クソッ!

勝てる気がしねぇ!

結局、俺は土方の愛撫に感じ、喘ぎ、受け入れた。

「どうだ?思い出したか?ああん?」

土方は深々と突き入れを繰り返し、俺を喘がせる。

「くっ、んっ、あっ、ああぁんっ、」

[クソッ!
すんげぇ、感じんじゃねぇか・・・
なんだこりゃあ・・・
ああ、ヤバイ・・・
ハマるよ、コレ、
ものっそい、ハマるよ・・・
ああぁ・・・気持ちいい・・・]

「オイオイ、大丈夫かぁ?
おめー、ケツ、ヒク付いてんぞ?」

「ああ?ケツとか、ヒク付いてるとか、言ってんじゃねぇよ、ばッ、こっちは、必死なんだよ、」

「ハハ、我慢すんなよ、ホラ、イケよ」

「やめっ、、んっ、んっ、ま、マジ、 ダメ、イク、あっ」

[もう我慢出来ねぇ・・・
イク、つうか、もう、滴ってるし・・・
キンタマは擦られるし、ケツは、なんか、
いっぱい、いっぱい、詰込まれて、擦られて、突き上げられて、
気持ち良くって・・・
何にも考えらんねぇ、]

「キンタマ、ヌルヌルだぜ?
ケツも吸い付いて、離れねぇ」

「おめーも、気持ち、いい、のかよ、」

「ああ、堪らねぇ・・・
聞こえっか?
この淫らな音がよ」

「おめー、エロじじぃみてぇな事、言ってんじゃねぇよ、おめーが中出しすっから、グチャグチャなんだろ、」

[あ、言ったよ。
自分で淫らな音・・・
言っちゃったよ・・・
アホだ・・・俺・・・]

「ああ、堪らねぇんだよ、熱く締め付けるおめーの中に、注げるだけ、注ぎ込みてぇんだよ」

「おめー、俺よか、若けぇのに、発言、オヤジ、だよ」

「うるせぇ・・・
良くしゃべんなァ、足りねぇのか?
俺ァもっと激しくやっても良いんだぜ?」

[おめー、想像しただけでイキそうだよつーか、イクよ、]

「ん~ッ、ああぁ・・・
ヤメっ・・・ハァ・・・
んっも、ムリ・・・」

土方は笑って快感に震える俺を抱き、手の中に放たれた俺の精子を舐め、残りを俺の身体に擦り付けた。

土方が激しく蠢き、突き上げる度、俺は身体を震わせ、土方が言っていた通り、よがり狂っていた。

また勃ち上がる男根に土方は愛撫を繰り返す。

裏筋を指の腹で撫で、カリ首を擦られ、喘いで、気をやる。

簡単に落ちる。

「銀時、出すぜ、」

ニヤリとして、土方は俺の中に放った。

グッと奥まで突き立て、俺を強く抱き締めながら土方は身体を震わせた。

「はァァあ」

満足な吐息を吐いて土方は俺を見詰め、髪を撫で、唇を重ねた。

その口付けに感じ、情熱的に応え、俺は満足気に笑った。

「確かに、良かったぜ」

「ふっ、満足した様じゃねぇか。
分りゃあ良いんだよ」

悪戯半分に土方は言って、俺の中からゆっくりと引き抜き、ゴロリと横になった。

そして、煙草に手を伸ばし一本吸い付けた。

満足そうな笑みを浮かべ、旨そうに吸いやがる。


そんなこんなで、気付きゃ、一緒に酒を飲み、床を共にする間柄になっていた。


手に入れられるもの総て己の手で掴み取らなければ気が済まず
一度手にしたものは決して手放さない男

土方十四郎

 

手の届く範疇を己の国
己のものと信じ
手出しする者に対しては一切の躊躇なく叩き潰し
一戦交える事も辞さない男

坂田銀時

 

互いを
己のものと思い
どの様な男であるか
知った上で
互いを
信じ
疑わず
真意など
口に出さず
知らぬまま
感じたままを
生きて行く

心の内を聞く?
んな野暮な事ァ
死んでも出来ねぇ

 

 

 


銀時の呟き

 

 

 

        おしまい