喜遊楼 その壱

 

 

-喜遊楼-

暖簾が大きくはためく

「いらっしゃい」

「こりゃ旦那、どうぞどうぞ」

見世番が、いつもの様に案内をする

「おや、遅ぅござんしたねぇ」

楼主はニッコリ、客を向かえ入れる

「おう、」

客は草履を脱ぎ、框に上がる

「貴方様がこんなに続くとは、ねぇ」

楼主の意味深な言葉に

「うるせぇよ、いんのか?」

ムッと、切り返す

「ええ、お待ちかねでございますよ」

楼主はニッコリした

「お腹が空いたとかで、お食事さしあげときましたよ」

「ああ、」

「土方様は、どうなさいますか」

「酒と、つまみを適当に頼む」

そう言うと、土方は勝手に廊下を進んで行った

 

 


カラリ-

「遅くなったな」

土方の呟きに

「ん~?
そうでもねぇよ。飯食ってた」

笑顔で返す銀時は、いつもの服を脱ぎ、見世の紅い寝間着に着替え、すっかり寛いでいた

その銀時の隣にドカッと坐り、土方は銀時の飲みかけの茶を飲み干す

銀時は、ジッと土方を見詰め

「何で不機嫌?」

と、聞く

「仕事の事だ…」

土方は湯呑みをテーブルに、タン!と置き、銀時を見詰め返す

「ナニ?飯粒でも付いてる?」

小さく溜息吐く土方を、銀時は抱き寄せ、癖の無いサラサラな黒髪を撫でる

「嫌な事ァ、忘れちまいな…
その為に俺がいんだろ?」

土方は何も言わず、銀時を抱き返した

「ちゅーするか?」

巫山戯る銀時に、土方は首を振る

「んじゃ、ナニ?」

「ふぇら、しろ」

土方は顔を上げて銀時を睨む

「ええ~?
今、飯食ったばっかりなんですケドォ?
ゲロでるぅ~」

「チェッ、」

小さく舌打ちする土方

銀時は土方の着物の裾を手繰る

「アレ?ものっそい元気」

着物の下に土方は、下帯を着けていなかった

銀時は笑って、土方のいきり立つモノを握り、ゆったりと擦り上げた

「俺は、ちゅーしたいよ?」

小首を傾げる銀時に、土方は唇を重ねる

ねっとり舌を絡め合い、口腔内を互いに舐め回す

音を立てて舌を吸い、銀時は上擦った声を上げる

「う…ん…」

呟いて銀時は顔を土方のモノに寄せ、口付け、鈴口に舌先を這わせた

 


「失礼しゃんす」

赤い綺麗な着物を着た禿が、酒肴膳を持ち、現れた時、銀時は夢中になって土方のモノをしゃぶっていた

禿は何事も無い様に、膳を置き、土方に盃を渡し、酒を注いで出で行った

「やっぱ、ガキでもプロだなぁ、こんぐれぇの事じゃ、動揺しねぇ」

「んあッ…
俺ァ、死にそうなんですケド…」

口元を拭い、顔を上げる銀時は、喘ぎながら言う

「ったく…無駄にでけぇし…
いかねぇし…
口痛てぇっての…」

「夢中ンなってしゃぶってたァくせしやがって
無駄とか言ってんじゃねぇ、
そのでけぇの突っ込まれて、ヒーヒーよがってんなァ、誰だよ」

土方は自らの放った精子の飛沫を銀時の顎先に見て言う

「あん?
俺ですがァ、ソレがナニかァ?」

顎先を拭い銀時は、銚子から直接、酒をがぶ飲みした

一息吐く銀時を見詰める土方

「クッ…たく、文句ばっか言いやがって、」

「文句も言いたくなるっての、オメ、アレだよ?
マジでか!?ってデカさだらね?コレ
ソラ今はヒーヒーよがってっケドね?
初めてん時ゃ、死ぬかと思ったっての」

「あん時だって、よがってたろ」

土方は何言ってやがると、ばかりに言う

「ああッ?テメッ!
そりゃアレだろ!
テメェが、ご禁制の天人からの押収物だかなんだか
訳の分からねぇエロ薬を俺に飲ませたからだろーが!」

ムッとした銀時は、シレッとした土方の態度に腹を立てる

「そうだったか…?」

「ああ!そうだよ!
オメー、アレで俺ァ、
このクソでけぇまらをすんなり受け入れられたかも知れねぇ
イキ捲ったかも知れねぇ
エロい事して、テメェを散々喜ばせてやったかも知れねぇがな…」

文句タラタラの銀時を遮り謝る

「ああ…分かったよ
済まねぇなァ…
アレがあんなに効くとは思わなかったからよ」

しかし、それは本気じゃなかった

「俺が三日三晩、犯りたくて、犯りたくて、死にそうで、悶え苦しんだってのによォ…」

銀時の小さな呟きを土方は聞き逃さなかった

「ああ?テメェ、今、何つった?
犯りてぇだと?
三日三晩?悶えた?
何だそりゃ!聞いてねぇぞ!」

土方の人相が明ら様に悪くなり銀時に食ってかかる

「言ってねぇからな…」

銀時は空惚けニヤける

「テメェ…
あの調子だったとしたら…
犯り捲くりだったな?
我慢きかねぇくれぇだったしな」

土方は斬り殺しそうな視線で銀時を睨んだ

「ああん?ナニよ?」

銀時はニヤリと土方を見返す

「テメェ!
我慢きかねぇからって、ここの男衆に犯らせてたんじゃねぇだろーなァ!!」

土方は銀時の襟首掴み揺さぶる

「知るかボケぇぇぇえ!!」

銀時は土方に頭突きをかます

「ってぇ!何しやがる!!」

「テメェが怒るんじゃねぇ!!
俺が気を失ってたのを良い事に、テメェ、俺を置いて帰りやがったろ!
俺ァあの薬のせいでなァ!
三日三晩、悶え、喘ぎ、もがき、苦しんだ!
喘ぎ捲くりだ!ああ?
よがり捲くりだよ!
狂った様に求めたよ!!
何でだと思うよ!?
禁断症状だ!!
記憶すらねぇ!」

銀時は、びっくり眼の土方を引き寄せ、口付ける

「ひでぇ有様だった…
分かるかよ…
んな時の事聞かれても、分からねぇって…
誰に犯られたって分からねぇってぇの…
テメェ、俺ァ、とんだ、ど淫乱だと思われちまったじゃねぇか…
テメェがちゃんと居りゃあ、問題無かったんじゃねぇの?ああ?」

銀時は土方の唇を舌でなぞりながら笑う

「あん時ゃ…
テメェ寝てんのかと思ったし…
近藤さんから急な呼び出し、」

土方は どう謝ったものか しどろもどろになる

「ゴリラの話しはすんじゃねぇ!!」

今度は銀時がムカッと 土方を怒鳴った

「ゴリラじゃねぇ!近藤さんだ」

「百歩譲ってゴリとしてもだ!
テメェのせいで死にそうだったってのに、俺ほっぽらかしてくって、どうよ?」

「そりゃ…
知らねぇ事とは言え
済まねぇ事をした
そんなに酷ぇ薬だったとは…
辛かったか?」

今度の土方は真剣になって謝っていた

「ほんと、済まなかった…」

土方は銀時の頬を撫でる

「あ?まぁ…
んなマジに、なんなくても…
何年も前だし……」

「なんでソン時、言わねぇんだよ」

土方は銀時を抱き締め、髪を撫でる

「なんだよ…」

「禁断症状が酷く、辛ぇのは、知ってる…
済まねぇな…銀時…」

土方は呟きながら銀時の、紅い着物を脱がし始めた

「あん…犯んのぉ?」

「ダメか?」

土方は裸にした銀時を膝に乗せ聞く

「ダメ……な訳ゃねぇよ…
つーか、ダメっつっても犯んじゃねぇの?」

「ああ…だな」

「んじゃ、聞くなよ」

銀時は笑うと土方の頭の天辺に口付けた

「ああ…
俺ァ、オメーに酷ぇ事がしてぇ訳じゃねぇ…
でもな…
嫌なら嫌って言え」

土方は銀時の額に口付け、舌を這わせながら、頬に口付ける

「嫌っつったら…
やめて…
くれんの?」

「ああ…?止めねぇ…」

「ばーか…
アンタ、ばーかーでーすーかぁぁぁあ!!
止めねぇのに
言ってどうするよ」

「どうもしねぇ…
嫌だっつっても
俺ァテメェを抱く」

「ハイハイ、好きにしたら?
別に嫌じゃねぇし…
ん…気持ちイイのが…
好き…」

「だなァ…もう…汁垂らしてらァ」

「ああ?そんなの…
フツーだろ」

「違いねぇな…
テメェはいっつも、こんなだ
汁垂らして…
喘いで、俺を煽りやがる…」

「次いで、こうも言うな…」

銀時は笑って、言い掛ける土方に口付けた

「早く…
ぐちゃぐちゃにしてくれよ……
待ち切れねぇ…」

「ソレだよ…
テメェはいっつも…
そう言って…
俺を煽りやがる…」

土方はニヤリとして 銀時にゆっくりと 唇を寄せる

「欲しいんだろ…」

「んッ…あぁ………くれよ」

銀時は妖しい笑みを浮かべ 土方に激しい口付けを 求めた


 

 

 

 

おしまい