St.VALENTINE'S DAY 09'

 

 

そう言やぁ
去年のバレンタイン…
最悪だったよなぁ……

待てど暮らせど
ヤツは来なくて
来たなぁ
次の日だったよ
うん……

今年も
ヤツは忙しいんだろーよ
どうせ
何やかや
色々あって
俺の事なんざ
忘れて
仕事に明け暮れる


良いケドね?
俺なんざ
江戸の平和を守ってからね?

ヤツも
江戸の平和を守ってから
仕方ねぇ
善しとしよう

しかし
何だって奴らお妙ん所行っちまった訳?

明日はバレンタインだってぇのに
なんか
淋しいじゃねぇか…

イヤイヤイヤイヤ
淋しくなんか無いからね?
コレ

たまにゃ
のんびり一人ってのも
まぁ
悪かねぇよ?
うん

ケド
アレだな
万事屋ったぁ
こんなに広かったか?
奴らいねぇだけで?

なんだ

淋しいのか?

イヤイヤイヤイヤ
侍が
淋しいとか
ナニ言っちゃってんのォォォォ!!?

ジャンプだ!
ジャンプ!!
ジャンプ読もう!!

って
アレ?
ジャンプ無くね?

あ!!
燃えるゴミで出しちまったんじゃねぇかァァァァア!!

ちょっ…

なんかね?
この淋しさ紛らす…
って
淋しくなんか無いよォォォォ!?
淋しくなんか無いからねぇぇぇえ!!
コレ!

ナニ
ウロウロしちゃってんのォォォォ?
俺!

しっかりしろォォォォ!!

淋しくなんか無いもォォォォん!!
ものっそ楽しいもォォォォん!!

アレだ!
アレ!
スキップとかしてみるか!
よし!!
そうしよう!!

 

 

 

……………………………………
………何だか虚しい………
……………………………………

淋しさ増すばっかじゃねぇかッ!!

アレ?
淋しいとか言っちまったよォォォォ!!
俺ぇぇぇえ!!

 

 

 

 

 

 


「テメェはナニをぶつぶつ言いながらスキップしてんだ?
そして、ナニを落ち込んでんだ?」

銀時がびっくりして振り返ると、土方が立っていた。

「アレ?いつ来た?」

「ああ?」

「つーか、テメェ、俺の恥ずかしい所を!」

「あ?テメェは存在自体が恥ずかしいんだ、今更照れんな」

土方はニヤリ言うと、ズカズカ入り込み、テーブルに紙袋を置いた。

「淋しいんなら電話すりゃ良いだろーが」

「さ、淋しくなんかねぇ!!」

「ああ?さっき淋しいっつってたろ」

「聞いてんじゃねぇぇぇぇえ!!」

銀時は頭抱えしゃがみ込む。

「まぁまぁ、座れや」

「テメェはナニ勝手に座ってんだ!
誰が座って良いと言いましたかッ!」

「うるせぇ…
手土産持参でテメェの淋しさ紛らしに来てやったんだ。
とっとと座りやがれ」

土方は銀時の腕を取り、強引に膝の上に座らせた。

「ちょっ!
何処座らせでんだ!」

「なんだ?
照れる事ァねぇだろ、誰も居ねぇなぁ先刻承知だ」

土方はニヤリ銀時の着物を肌蹴る。

「ちょっ、何だよ、土方」

「久しぶりなんだぜ?
触るくれぇ良いだろーが」

「つーか、ナニ?」

「ナニったぁ、何だ」

「ナニしに来たんだ?」

「ああ、コレな」

土方は銀時の肌から手を離し、紙袋を掴んで渡した。

「バレンタインだろ?
チョコレートだ」

「え?チョコレート?
ええ?土方が俺に?告白?」

「イヤ、告白はだいぶ前に、ってテメェ、良いから開けろ」

銀時は言われるままに紙袋を漁り、ピンクのラッピングペーパーに赤いリボンの箱を取り出す。

「ピ、ピンク…
なぁ、誰が買ったのよ、コレ」

「俺だ」

土方の耳が真っ赤に染まる。

銀時はニッコリして、土方の真っ赤な耳に囁く。

「愛してる」

と。

土方は更に赤くなり、銀時を見返した。

「なぁ、トシ、バレンタイン、明日だよ?」

「あ、ああ、そうか」

「でも、ま、後2時間位だけど」

銀時は土方の膝から下りて、和室に向かう。

直ぐに取って返すと、土方の膝に跨いで座り、銀時は黒に銀のラッピングペーパーに包まれた小箱を突き出した。

「今年は、甘くねぇから」

銀時は微かに笑う。

「ああ、」

微笑み返す土方の首に両腕を巻き付けて、銀時は土方の鼻先にキスして笑う。

「明日、早ぇえの?」

「イヤ、何でだ?」

「今日、来たからだよ」

「成る程、明日来れねぇから、今日来たと?」

「うん、お前、そんなの、多いだろ」

「そうだな。否定しねぇ。
だが、明日は休み取った。
わざわざ、テメェの為にな、銀時」

「そうか、そりゃ嬉しいな」

クスクス笑う銀時に土方は口付ける。

「嬉しいか」

「ああ、嬉しいねぇ、
お前がさ、俺の為にしてくれ事ァ、俺ァ何だって嬉しいんだよ」

銀時は口付けを返し土方を抱き締める。

「ホント、どの面下げてピンクのチョコ買ったのか、考えるだけで感動だよ…」

銀時は身体を震わせて言った。

「テメェ、笑いてぇなら笑えや」

「ブッ、ぶわぁっはっはっはっは!!」

大爆笑の銀時にしかめ面の土方。

涙零して笑う銀時に土方は溜め息吐く。

「いい加減にしろ…」

「ホント、お前、堪んねぇ…
つか、外さねぇよ…
もう、愛しいね…
ククッ!」

「テメェ、マジムカつくなぁ、」

「アハハッ、なぁ、トシ、お前がする事ァ、全て俺を喜ばすんだよ?
そいつはトシ、お前にしか出来ねぇ事った。
お前が俺にしてくれる、一つ一つが、俺を幸せにしてくれる。
お前全てが愛しいんだよ。
ありがとう、愛してるよ」

「笑うか告白するか、一つにしてくれよ」

「どっちも終ぇえだよ。
こっからはトシが最も得意なモンで語ろうじゃねぇの」

「そうだな」

土方はニヤリとすると、銀時を抱え込み、立ち上がって和室に移動する。

「期待してるよ、土方くん」

「ああ?上等だコルァ、俺ァ外さねぇんだろ?」

「そうですね~、いっつも、
大満足ですよ、コノヤロー」

「ハッ、その減らず口を利けなくしてやるぜ。
覚悟しろや」

「うん」

銀時は満足気に微笑み布団に寝転んだ。

自ら帯を解き、銀時は両手を広げ土方を抱き寄せ、唇を重ねる。

「…フッ…ンンッ…」

舌を絡め、吸い合う音が響き、微かに漏れる銀時の喘ぎを、土方は愛し気に拾う。

”お前が俺にしてくれる、一つ一つが、俺を幸せにしてくれる”

銀時の言葉が土方の中に染み入る。

そう言う銀時の言葉が土方を幸せにしてくれている。

一つ一つを確かめ合う様に、互いを探り合い、身体を繋ぐ。

「愛してるぜ、銀時」

「ああ…
俺も、愛してる」

銀時は微笑み土方を強く抱き締めた。

 

 

 

 

 

 

 


090214※St.VALENTINE'S DAY※