甘い誘惑

 

 

『……土方くん?…………俺……………』

そんな留守電を聞いた土方は 仕事が引けるのを待ち 万事屋へ向かった

 

外は既に暗く 秋の夜は 長い

 

―カラリ―

 

万事屋の中は薄暗がりで ソファに縮こまる銀時が土方を見上げた

「テメェ、ナニしてやがる」
「え?土方くんこそ、ナニ?」
「ああ?
ナニじゃねぇ…
あんな意味深な留守電残しやがって、何かあったかと思って来てみりゃ、何だ
寝間着なんぞ着やがって、まだ6時過ぎたばっかじゃねぇか
もう寝んのか?」
「ねぇんだよ……
なんもねぇんだよ……
仕事も金も喰うモンもねぇんだよォォォォォォ!!」
銀時は土方にしがみ着き叫ぶ
「テメェ…
そんなんで…
留守電に……」
「そうだよォ~
オメー、一昨日っからこっち、何も喰ってねぇんだよォ~
神楽なんざ難破船のネズミよろしく逃げ出して新八ん家行っちまったし…
腹減り過ぎて目眩すんだよォ~
もう寝るしかねぇだろーが」
「ソラ仕方ねぇな、働かかざる者喰可からずだ。
違うか?あん?」
「仕事がねぇんだ、働かせろ」
「ああ?ナニ訳の分からねぇ事を…」
銀時は土方から離れ 見上げる
「俺ァ、アレだよ?悦い仕事するよ?」
「あ?」

銀時はそそくさと 寝間着のパンツを脱いで土方の上着を脱がす
「働くってテメェ、コレか…」
「うん」
「テメェ、プライドねぇのか!
プライドはァァァァア!」
「んなモンオメーに股開いた時点で捨てたわァァァァア!!!
背に腹は変えられねぇんだよォ~~!」
「何だテメェ人のせいか?」
文句付けつつニヤける土方
「そうだよォ~
だからオメー、何とかしろよ!
何か喰わして、んで今月の家賃も払え!
頼みます!
つー事でぇ~
ホラ、ね?
愉しんで貰おうと思ってェ~
色々用意しましたァ~」
銀時はテーブルに玩具を広げる
絶句する土方
「ローションだろ~
バイブにパールに~」
「何だテメェ!!
こんなモン買う金あったら米を買え!!
飯を喰え!!
どさ紛に家賃まで払えったぁなんだ!
コノヤロー!!」
「買ってねぇよ?貰いモン。
家賃は払え」
「そんなモン、誰から貰いやがった…
ああ?
ナニ嬉しそうにしてやがる…
テメェ、俺じゃあ、満足出来ねぇのか?
足りねぇのか?
ソイツを使って欲しいのか?
つーかテメェ、使用済じゃあねぇだろーな?」
土方は銀時の髪を鷲掴み 和室へ引き擦って行く

「イダダダダ!ハゲる!
ハゲるぅぅぅぅう!!」
騒ぐ銀時を放り投げ 土方は尻のポケットから素早く出した手錠を銀時に掛ける
「ちょっ!何?コレ?
ん?ナニナニナニナニ?
拘束ぷれいですか?」
にんまりする銀時に 土方も笑い返し
「知ってるかい?売春は犯罪なんだぜ?万事屋さん」
正しく悪人顔で言った
「えッ!ちょっ!マジでか!?」
「なぁ、俺ァ警官だぜ?
俺相手に売春しようったァ、なぁ?万事屋さんよ」
「んじゃ、テメェ、アレか?
俺に2丁目に立てってか?
立ちん坊しろってか?」
土方は煙草を吸い付け 紫煙を吐き出す
「テメェ、売春しか頭にねぇのか?
殺すぞ…」
真剣に睨みを効かす土方
「チッ!んじゃ、売春は止めっから、コレ取れよ」
「そうか、そうか。
分かりゃあ良い」
土方はニッコリ紫煙を吐き出す
「ケツ丸出しも、なかなかそそるなァ」
「はぁあ?ちょっ!」
銀時は手錠を引かれ前のめりに倒れ込む
「相変わらず、赤ん坊みてぇな柔肌だな」
「ちょっ!ナニ…」
尻に頬擦りする土方
”ぺろり”一舐めされ 銀時は”ぴくり”硬直する
土方は触った肌から銀時の反応を感じ取り 更に舌を這わせた
「ふッ…」
尻を揉みほぐしながら 今やヒク付く尻穴に 舌を使った
「あ……ッンッ……」
荒い息遣い 震える躯
土方はニヤリと舌先を穴に潜らせ微妙に蠢かせた
「ハァン…や…ひじ…ンッ」
徐々に我慢が効かなくなり 銀時は喘ぎを大きくし 激しく躯を震わせた
男根から滴る先走りの汁がふぐりにまで伝う
「アンッ…や…もう、我慢出来ねぇよ…土方くん…」
「ホントになぁ、もう射精(で)そうじゃねぇか」
「うん。触って…」
催促する銀時に応じ 土方はふぐりから 亀頭へ指を這わす
「あ…」
亀頭を掠め土方は銀時から離れた
「ひ、土方…」

サッと立ち上がり居間へ行く土方を 銀時は震える躯で見上げた
「あ」
「せっかくだからよ、使ってやるかと、な?」
ニヤリ土方は言い 服を脱ぎ捨てた
屹立した土方の男根を見詰め 銀時は生唾を飲み込む
「何だ?期待してんのか?」
土方は手にした玩具を見せて笑う
「違ぇ…」
銀時は欲情に濡れた瞳で土方を見返す
「そうか?エロい目ぇして見てんじゃねぇか」
銀時が見て興奮したのは土方自身にだったが 口には出さず 目を伏せた

たっぷりとローションを使い揉み込まれ銀時は呟く
「マジか…ソレ…」
土方の弄ぶ玩具に視線は泳ぐ
「力、抜けよ?」
「やめろよ…そんなんッ…は…ァ」
言う間に土方は”つぷッ”と数珠繋ぎになったパールボールを一つ また一つと 差し入れた

「ンァッ…」
「随分と飲み込んだなぁ」
土方は笑って紐を”くんッ”と 引く
「ひぁッ!や…だ……め」
”つぽん”
銀時の躯が小さく跳ねる
”ぽん”
「ヒンッ!」
”ぽぽん”
「ひゃあ、やめろ…ンアッ」
滴りは多くなり銀時の喘ぎは更に増し
「んな無機物相手に悦い声で鳴きやがって、テメェ、ホント淫乱だなぁ」
「ひぁッ!やァ…トシぃ…」
躯震わせ呟く銀時
「ん?」
「イッちゃう…トシぃ…挿入れてぇ…トシぃ…」
「テメェ…」
「トシのが…欲しいよ…」
全身を染め上擦った銀時の呟きに 高ぶる土方は一気に引き抜く
「…!ッ!…」
その刺激に堪えられず気を放つ銀時は肩で息をし泣きながら
「…バカ…ンナので…イキたくねぇ…の、に…」
振り返り言う

「端から素直に言やぁ良いのによ…
すりゃあ、こんなん、しなかったぜ」
涙 涎れ 汗塗れで突き出したままの銀時の尻を撫で言う土方に頷く
「まぁ、心配すんな、今からイヤってぇ程抱いてやっからよ」
「あ…ん…」
銀時は笑顔で頷く

銀時を抱き起こすと
「すぐにくれてやるよ」
土方は銀時の涙を拭い 頬を撫で口付ける
寝間着の前を開き 固くしこる乳首を弄い 舌を絡め合う
「ん…ぁ…」
上擦った声を漏らし 銀時は手錠の掛かったままの腕を土方に回し強く抱き 再び固く猛る男根を擦り付けた
「早ぇえな…もう勃起してんのか?
んな欲しいか?」
「欲しい…」
「エロいなぁ…
紅い瞳輝かせやがって…
肌なんざ桃色に染まって…」
呟きながら土方は銀時の尻を揉み込む
「すげぇな…ヒク付いてんぞ…」
「悦い…トシの…で、掻き回してぇ…」
土方は銀時を抱き上げ 座位で躯を繋いだ
「…ンッ…」
「ゆっくりな、俺のはデケェぞ」
「んっるせ…知って、る…はぅん…」
”グイッ”と腰を落とす
「がっついてんじゃねぇよ…」
焦れったい様に腰を揺すり立てる銀時
「トシぃ…」
切ない声に土方はその唇を塞ぎ 下からゆるゆると腰を蠢めかせた
「…ふっ…ンアッ…」
”ぴん”と背筋を伸ばし 銀時は土方の全てを飲み込むと甘い吐息を吐いた
「…ンアッ…すげぇ…」
感嘆の喘ぎを漏らし銀時は笑い掛ける
「俺ん、中いっぱい…」
「ああ、嬉しいか」
笑い返し土方は腰の動きを強める
「ぅん…ふぁっ…んぁん」
土方の動きに合わせ腰を揺すり立てながら銀時は 快楽に身を任せ喘いだ

 

 

土方はグッタリ気を失う銀時を腕に一服付けた

途中何度も気をやり とうとう気絶した銀時を笑う

「オメー2日も飯食ってねぇのに飛ばし過ぎだぜ。
オっさんなんだからよ…
まちっと身体いとえよ」

 

暫くして目覚めた銀時は 隣で”くーかー”眠る土方を見て 溜め息一つ

「土方くん…
寝ちゃった…
グスン…
腹減った……」

土方の腕から這い出て銀時はフラ付きながら台所へ行き 蛇口に口付けて水をがぶ飲みする

 

 

 
「オイ、んなモン飲んでんじゃねぇ
飯食いに行くぞ」
土方はそう言って水を止める
「メシ、飯食いてぇケド…
なんか精子臭ぇえし…
べとべとだし…
風呂入んねぇと…」
「そらテメェがビュッピュク出し過ぎだからだろーが」
「仕方ねぇだろ…
気持ち悦いんだからよ」
テレる銀時に土方は
「ほ~、テメェ俺に気持ち悦くして貰って、その俺にたかろうってのか?あん?」
冷ややか
「え?ナニナニ?俺ばっか気持ち悦いみたいな?
オメーは気持ち悦くねぇみたいな?
何だテメェ、ンッ…」
ヘナヘナと床にヘタリ込む銀時
「誰も気持ち悦くねぇなんっつってねぇだろーが」
土方は銀時を抱き上げて 風呂場へ向かう

シャワーを浴びさせ 銀時の尻穴に指を潜らせ注ぎ込んだ精液を掻き出した
「お~いっぱい出たな」
笑う土方
「テメェこそ出し過ぎだっつの…」
その間銀時は身体を震わせ再び性欲に火が付きそうになるのを我慢した

「ちっと温いが良いだろ」
土方は銀時を抱いて湯舟に入り ぺしゃんこの髪を撫でる
「よしよし」
「ナニ?グルーミング?グルーミングなの?」
「洒落た言葉知ってんな」
土方は笑う
「つかさ、キンタマおっ勃てんの、止めてくんない?んなモンいらねぇんですケド?」
「そうかそうか、いらねぇのか?
もっと、ちょうだいってぇ鳴いてたのになぁ…
あんな愛し合ったのにな?」
「うわッ!キモッ!」
「ああ、こりゃキモいな。真実だがな」
土方は笑う
「マジ、ぐいぐい押し付けんなっての!」
「何だテメェ、テレてんのか?」
「テレてねぇ…
や…だから…やだって…」
「感じ易い躯だぜ」
「お願い…も…無理だから…」
「だな」
土方は笑って銀時の屹立した男根を握り擦り上げた
「よし、飯にいくか、っても、時間が時間だしな、もうロクなメシ屋開いてねぇがな」
「いいよ…食えんなら何でも…
だから…キンタマ弄繰り回すんじゃねぇ!」
強引に立ち上がり銀時は目眩して土方の上にひっくり返る
「バカヤロ…」
「イヤ、オメーがバカだろ?
ホラ出んぞ」
「イヤ、無理…
もう、俺…ここに住む…
風呂の妖精になる」
ヘタリ込む銀時を避けて土方は立ち上がり
「んなゴツイ妖精見た事ァねぇ」
と 風呂を出て行く
「マジでか!?
つか置いてく?
有り得ねぇ…
腹減った…
ダリぃ……
もう…死ぬ…」
目を閉じ ズブズブ沈む銀時
その腕を掴んで引き上げ
「ホラ、口開けろ」
と土方は言う
「ナニ…」
”クンクン”鼻を鳴らし目を開ける銀時の目の前に ケーキを手にした土方がいた
「ちょっ、ナニ?何でケーキ?オメー魔法使い?」
「んな訳ゃねぇ」
「あ~ん」
口開ける銀時に土方はケーキを食べさせる
「あぁん…美味い……アグッ」
僅か3口で土方の手からケーキは消えた
”ぴちゃぴちゃ”土方の指をねぶる銀時に
「随分エロい喰方だな」
言って指を離しケーキを摘む
「え?まだあんの?つーか、何でケーキ?」
「買って来た」
素っ裸の土方を見て銀時は
「あの…ね?
コレ、来る時買ったの?」
と聞く
「ああ、」
「ああ、ってお前、喰モンあんなら、先に喰わせてくれよ…」
「ああ、テメェが余りにもバカやっからよ、忘れてた」
「マジでか!?
ナニコレ?
イジメ?新手のイジメですか?
コノヤロー!」
「悪かったな…
ホラ、怒んな銀時
喰わせてやっから、な?」
「お前、今日初めて俺の名前言った」
「そうか?そうだったか?
細けぇ事ァ気にすんな…な?銀時」
土方は笑って銀時の口にケーキを運んだ
「なぁ…コレ、後で食うから、いっぱいあるし…」
銀時は残りのケーキを押し退け 土方の指をねぶり 土方は指を退けて銀時の唇に唇を寄せた
「違うモンが欲しい」
「あ?オメーさっき、いらねぇってなかったか?」
「ん…じゃ、いいか」
「オメーが良いってなら、俺ァ良いがな
好きにしたら良い」
「んじゃケーキ喰わせて」
銀時は口を開け土方は
「誕生日おめでとう」
と呟いてケーキを口に入れた
驚く銀時に土方は
「やっぱテメェに日にちの感覚はねぇな…
今日は10月10日だぜ
また一つオっさんになったな、おめでとう銀時」
ニヤリ言う
「フゴッ、マジでか!?
え?ソレでケーキ?」
「ああ、そうだ」
銀時は急いでケーキを食べ 土方の指に口付け呟く
「やっぱその…アレだろ?
アレだよな?」
「あん?」
「俺の事、好きだよな?」
「どうかな?」
「どうかなってナニ?
なんか…」
文句付け様とする銀時の口を指で塞ぎ呟く
「まぁ、好きだろうな
でなきゃ、お前、抱けねぇだろ?
あんな風にゃ…
タチの悪ぃ病に罹ったみてぇにオメーを欲しがる
オメーと躯を繋ぐなんざ…
なぁ?」
「そりゃ告白?
告白ですか?
タチの悪ぃ病ってさァ…
俺?俺、病原菌なの?
愛し合ってるって言ってなかった?」
「アハハ、そうだったな
なんにしても、俺ァオメーが好きなんだろーな
なぁ、銀時」
土方は珍しく声を上げて笑い 銀時は土方に口付ける

「プレゼントは?ナニ?」
「あ?買ってねぇよ」
「ええッ?」
「好きなモン買ってやるよ」
土方は銀時を抱き上げ風呂から出すと
「明日、ってか今日だな
非番だからよ
朝まで可愛がってやるよ」
そう言って和室に運んだ

 

 

 

 

―10月10日銀時Birthdayに寄せて―