銀夢子育て番外編

~ある日の真撰組~

 

 



朝礼会議の最中に原田が大欠伸をし、話しの腰を折られた土方は、原田を怒鳴り付ける。

「原田ァァァァア!
テメェ、弛んでるんじゃねぇぞッ!
コルァァ!!」

大広間に響き渡る怒鳴り声。

「弛んでる訳じゃねぇッ!
ガキが夜泣きして寝れねぇ!
アンタだってそうだろーがッ!!」

「ああん?なんだテメェッ!?
俺ァ欠伸なんざしねぇ!
第一にィィイッ!
ウチのボウズは夜泣きなんざァ!
しねぇんだよッ!!」

「嘘付けぇえッ!
コルァァァァァア!!
どんなガキだって三時間置きに夜泣きすんだよッ!!
赤ん坊だぞッ!?
お乳の時間があんだろーがッ!!」

「ああ?それでもしねぇ!」

「んな訳あるかッ!
一緒の部屋日寝てねぇから分んねぇだけだろ!」

「ああ?ウチはなァ、1LKなんだよ!狭ぇんだよッ!
ああ?テメェ、神楽なんざ押し入れで寝てんだぞッ!
唯一の和室に俺ァ、親子三人で寝てんだよッ!」

「なにッ?どんな狭さだ!」

「テメェん家のがよっぽど広いんだよ!クソ原田!!」

「クソは余計だろーがッ!
んじゃ、何で夜泣きでアンタ起きねぇんだよ!
フツー、起きるだろッ!
絶対ぇ起きるだろッ!!」

「ああ?そりゃ、テメェ、銀時のヤツが先回りして泣き出す前に乳やってからよ」

「なに!?先回り?
なるほど、チッ!その手があったか」

「俺や神楽が起きねぇ様によ、銀時のヤツぁ、気ぃ使ってんだよ。
夜泣きする前に起きて乳やってんだよ」

「チッ!万事屋の、
案外やるじゃねぇか、
流石は金の草鞋ってヤツか。
良く出来た嫁じゃねぇか」

大人しく納得する原田。

「ったく、うるせぇ」

沖田は、小さく呟き、そして文句を付ける。

「うっせぇよ!
クソオヤジども!
子育て談義は余所でしてくれってんだ!コンチクショー!!!」

叫び始める。

「そうか!なかなかやるな!銀時!」

感嘆の声をあげる近藤。

「なんでぇ、近藤さんまで」

「なるほど、先回りか、ウチのカカァにも言っとくか、」

「こりゃあ参考になる」

「ああ、ウチも来月二人目が、」

既婚組の隊士達は口々に話し始め、沖田は舌打ちをする。

「チッ!!何の朝礼だぃ!
やってらんねぇや!」

沖田はブツクサ文句を言って立ち上がる。

「見回り行って来まさぁ」

そう言うと沖田は大広間を一人出てサボリに行った。




おしまい